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NEW YORK CENTRAL RAILROAD(1939年)

nyc1939_1.jpg

きょうは「エコ」?な話を。

ここに紹介する時刻表は、かつてアメリカを代表する鉄道会社のひとつだった「ニューヨーク・セントラル鉄道」の業務用のもの。発行は第二次大戦直前の1939(S14)年6月です。
同社はその名の通り、ニューヨークからシカゴやボストンなどへの列車を運行していましたが、この時刻表はその中でもマンハッタンを中心とした、いわば同社にとって総本山とも言うべき地域の運行時刻が収録されています。

nyc1939_2.jpg

ところで、なぜ一般旅客用のものではなく、関係者向けの部内資料を取り上げる必要があるのかと疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。それは、「貨物列車」の時刻が見たかったからです。
今日注目したいのは、マンハッタンの北隣に位置するスピュイテン・デュイビル(Spuyten Duyvil)から、マンハッタンの心臓部・西30丁目までを結ぶ「ウエストサイド線」。ウエストサイドというと、ハドソン川に沿った大都会の片隅-薄汚れた工場街とスラム-不良少年が愛と暴力の青春を謳歌するテリトリー・・・とまあ、ミュージカルや映画のイメージが沸いてきますが、そんなところに貨物専用線が通っていて、そこを往来する郵便列車やミルク列車が大都会の生活を支えていたわけです。

nyc1939_3.jpg

さて、時刻表本文には残念ながら30丁目までしか掲載されていませんが、この路線はさらに南へと延びていました。高架で街中を貫き、時にはビルをぶち抜いてローワー・マンハッタンまで達するこの線路は1934(S9)年に完成し、俗に「ハイライン」(High Line)と呼ばれて親しまれました。入換扱いということでこの区間の列車は時刻表に載っていなかったようです。
下の画像はニューヨークの港湾局が1956(S31)年に発行した地図から、ハイライン部分のクローズアップです。途中で分岐する引き込み線もあったことがわかります。

nyport1956_2.jpg

下は同じく1956年の地図からマンハッタンの全体図。マンハッタン北部(スペースの都合上、地図の右が北で左が南)からハドソン川沿いに南下し、30丁目の操車場を経てさらに続く線路が赤線で示されています。

nyport1956_1.jpg

戦後、鉄道による貨物輸送が斜陽化するとウエストサイド線から貨物列車は姿を消します。ハイラインは1980(S55)年を以って役目を終え、草木が生い茂る長大な空き地になってしまいました。そうなると「無用の長物は撤去してしまえ」という意見が出るのは自然の流れ。犯罪多発都市と言われた80年代から90年代のニューヨークでは、そうした廃墟が犯罪の温床になると考えられていたので、当局も撤去に前向きでした。ちなみに、30丁目以北は旅客線に転用されて今に至っています。

そんなハイラインに対する風向きが大きく変わったのは21世紀に入ってからのこと。撤去論の一方で、ハイラインの文化的価値を認め、それを街づくりの核にしようという運動が行われていましたが、その活動が実り、高架線がそのまま公園(遊歩道)として再生されることになったのです。「廃墟になれば周囲はさらに寂れる。逆に、人が集まる仕組みを作れば街には活気が戻る」-まさにその実践の成功例といえるでしょう。

ハイラインと同じような試みは日本にも存在します。横浜では、国鉄時代に開通した山下埠頭に通じる貨物線の高架を活用し、遊歩道が設けられています。ニューヨークに先立つこと7年、2002(H4)年のオープンなので、この分野では日本の方が一歩先を行っていたのですね!

【おすすめのリンク】
"The High Line" 公式サイト
 遊歩道の散策には欠かせない情報を満載。ハイラインに関するグッズ販売も。(英語)

(サムネイルをクリックすると拡大します)
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プロフィール

ttmuseum

Author:ttmuseum
「20世紀時刻表歴史館」館長。
サラリーマン稼業のかたわら、時刻表を中心とした交通・旅行史関連資料の収集・研究・執筆活動を行う。

<著作>
「集める! 私のコレクション自慢」
(岩波アクティブ新書・共著)

「伝説のエアライン・ポスター・アート」
(イカロス出版・共著)

「時刻表世界史」(社会評論社)

その他、「月刊エアライン」「日本のエアポート」(いずれもイカロス出版)、「男の隠れ家」(朝日新聞出版)などに航空史関係記事を執筆。

<資料提供>
「昭和の鉄道と旅」(AERAムック)
「日本鉄道旅行地図帳」(新潮社)
「ヴィンテージ飛行機の世界」(PHP)
の他、博物館の企画展や書籍・TVなど多数。

「時刻表世界史」で平成20年度・第34回交通図書賞「特別賞」を受賞。

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